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2022-02-01

【シアテルスタッフがおすすめ】勝手にうなった愛する映画たち #5 ビッグバグ

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こんにちは。早くも令和4年3月に入りましたね。本州の方では梅が咲き始めているところもあるとかで、まだまだ雪深いこちらは春が待ち遠しくてたまらない毎日を過ごしています。さて昔から好きな監督が何名かいるのですが、ジャン=ピエール・ジュネはその中のひとり。唯一無二の世界観、フランス的ブラックジョーク.... 大好きです。そのジュネ監督が9年ぶりに長編映画を作った!しかも!Netflixで観られるということで張り切って鑑賞しました。

あらすじ 2045年、ある静かな住宅街で、4体の家庭用ロボットが突然、主人を守るがために自宅に立てこもることを決意。一緒に閉じ込められたのは、どこかかみ合わない家族、お節介な隣人、そして野心的なセックスロボット。彼らは、異常なほどおかしくなっていく雰囲気の中で、お互いに我慢せざるを得なくなる。一方、家の外では、最新世代のアンドロイド、ヨニキスが世の中を乗っ取ろうとしている。脅威が迫っているにも関わらず、人間たちは他のことに気を取られ、嫉妬をしてお互いを攻撃したりして、家庭用ロボットたちはとまどうばかり。

室内で起こるワンシチュエーションドタバタ劇。 ジュネ作品には欠かせない、おしゃれな世界観とカラフルな色彩、毒気満載のユーモアやシニカルな風刺が至るところに散りばめられていて、鼻で笑いながら観れる感じが懐かしい。近未来なのにレトロ要素の描写もたくさんあって、ジュネワールドに浸れる時間でした。

家庭用アンドロイドや旧型ロボット達が人間になろうと、ロボットには備わっていない ”ユーモア” を習得しようとする色々奮闘するシーンがあるのですが滑稽かつとても健気でまたいじらしくて愛すべきキャラクター達です。

過去の遺産となってしまった、本を愛し詩を愛し文字を書くことをとても大事にしている主人公のアリス(人間)は、途中、人間を支配しようとしている最新型アンドロイドに「技術が進歩したら人間の代替は可能か?」の問いかけに対して

「人間の代わりはいない、なぜなら人間は独創的で欠陥のある存在だからよ。」

というセリフが印象に残りました。

ついひと昔前までは映画や漫画の世界のものだったものがどんどん実現化され、AIというのは日進月歩という言葉を飛び越えて何か得体の知れない力で私たちの日常にどんどん浸透していってるのを若干脅威に感じていますが、生きているうちにどこまで色んなものを体験できるのが楽しみでもあります。

映画の後半でコロナに触れるところもありこのワンシチュエーションで閉じ込められるという設定も、ロックダウン=ステイホームに対する監督のメッセージが込められているのかなとも思いました。

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世界的大ヒットで日本でも一代ブームとなった「アメリ」はわたしの中ではちょっと商業的になりすぎてしまった感が否めなく、それ以前の「デリカテッセン」や「ロストチルドレン」がお気に入りなのですが、今回の『ビッグバグ』からもこの初期2作を触れる要素が散らばっていて懐かしくもなりました。

エンディングまで楽しませてくれるジュネ監督、次回作も楽しみにしています。

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